放射線治療用高精度線量補償フィルタ設計システム

概要

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人体の中の病巣部へ放射線照射を行う際,放射線が通過する生体の厚みの差や組識密度の差に起因して,目標病巣領域へ均一に放射線が到達しないという問題が発生することがある.これを避けるため,放射線の体内通過中の減衰形態を詳細に予測し,線源と照射野との間に3次元ブロックを入れ,放射線を補正して照射する方法を試みる.この補正を行う3次元ブロック「補償フィルタ」の設計方法について逆べる.最初にX線CTの連続断層画像によって得られる濃度ボクセルごとのCT値を治療用高エネルギーX線の吸収係数に変換する.次に放射線発生装置から患部までの通過ボクセル値を積算し,ターゲット領域での線量分布を得る.この線量分布を適正に補正する補償フィルタの3次元的形状を,実測によって得られた組識空中線量比をもとに決定する.更に,この形状データに従って実際に製作を行う.ファントムを使用した実験では10%程度の線量不均一性を約3%程度にまで低減させることができた.また,生体適用シミュレーションでは目標域の形に高線量を分布させることができ,線量補正の効果が確認できた.
1993-03-25