運動視標追跡視中に視標に向けられる集中的注意レベルによるサッカード動特性変動

概要

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水平に単振動する視標を暗闇中で追跡視したときに生ずる滑動性眼球運動に混在して生ずるサッカードの動特性(大きさが同等のサッカードに関して最高速度や継続時間によって特徴づけられる)が, 視標を見ようとする集中的注意のレベルにより変化するかどうかが調べられた. 実験1は, 海老澤らの考案したTBF法[2]を修正したもので, 視標追跡視中に滑動性眼球運動速度がしきい値を超えたときに視標を高輝度にし, そうでないときに低輝度にした. 被験者には視標ができるだけ明るくなるように視標をじっと見るように指示した. 結果は, この帰還課題では視標が常に高輝度の課題と低輝度の課題に比べ, サッカードの最高速度が大きく継続時間が短かった. しかし, 修正TBF法では視標輝度変化がサッカード動特性に影響したという疑問が残った. 実験2では視標輝度を固定し, 単に被験者への指示だけを変えた. その結果, 一生懸命に注視しながら追跡する課題の方が普通の意識で追跡視する課題に比較してサッカードの最高速度は大きく継続時間が短くなった. 両実験結果は, 視標に向けられる集中的注意のレベルに伴ってサッカードの動特性が変化することを強く示唆した.
1997-10-25