一斉授業における子どもの発話スタイル : 小学5年の社会科授業における教室談話の質的分析
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概要
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本研究の目的は, 一斉授業において, 子どもが独自の発話スタイルをもつことを明らかにし, 独自の発話スタイルをもつことの意味を検討することである。小学5年生の社会科単元「日本の水産業」の一斉授業 (計7時間) に対し事例の解釈的分析とカテゴリーの数量的分析を併用し, 発話対象と発話内容の点から2名の対象児の発話スタイルを比較検討した。その結果, 対象児の発話スタイルは次の点で異なっていた。一人は学級全体, 教師, ひとりごとと, 発話対象を柔軟に切り替えていた。発話内容は学業的内容と「おかしみ」を混在させたり切り替えたりしていた。もう一人は教師を主たる発話対象とし, 課題解決の結果を直截的に表出していた。また, それぞれの発話スタイルには次のような意味があった。一人の, 発話対象や発話内容の柔軟な使い分けには, 自分の好きなように課題に敢り組むと同時に他者との関係性上の軋礫を回避し, 安定した授業参加を目指す意味があった。もう一人の, 教師との閉鎖的なやりとりには, ほかの子どもとの関係性が不安定であるため, 教師との相互作用によって心理的安定を求めるという意味があった。
- 1999-11-15
著者
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