中国人親子による出来事の対話 : 母親と父親は幼児の出来事の語りをどのように引き出すか
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概要
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親が子どもから過去の体験や出来事をどのように引き出すかは,子どもの自伝的記憶やナラティブスキルの形成に影響を及ぼすと考えられている。本研究では,中国人3,4,5歳児(N=46)とその父母を対象に,過去の出来事をめぐる対話場面を収録し,以下の2点を検討した。第1は,子どもの発達に伴い,親の発話はどのように変化するのか,第2は,母親と父親で発話に違いがあるのか,である。親の発話を,発話量,発話の文法的形式,発話内容,発話の機能(発話の仕方に関する発話)に分類し,分析した結果,(1)子どもの年齢に応じて親の発話量は減少すること;(2)形式的には,子どもの年齢が低いほどyes-no,what,復唱質問が多いこと;(3)機能的には,3,4歳児の親は「これまで話してきた出来事についての詳細情報」を求め,また「確認」を多く行うこと;(4)全体を通じ,父親は母親よりも発話量が多く,特に4歳児に対してはyes-no質問や復唱質問が多いことなどが明らかになった。3歳児の親は,子どもの語りを積極的に援助し,また父親は母親とは異なる形で援助を行っているといえる。
- 日本発達心理学会の論文
- 2002-12-20
著者
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