直腸肛門奇形に合併する尿路奇形の検討 : とくに新生児・乳児期の取り扱いについて

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直腸肛門奇形 (鎖肛) は, 小児外科領域では比較的頻度の高い疾患であり, 1) 先天性尿路・***奇形の合併, 2) 直腸尿路瘻の存在, 3) 脊髄, 脊椎奇形に伴う神経因性膀胱, 4) 鎖肛の根治術に伴う合併症などにより, 泌尿器科的処置が必要となる.今回我々は, 当センターにおいて十分に泌尿器科的検査が加えられた直腸肛門奇形57例に対し, 特に先天性尿路奇形の新生児, 乳児期における取扱について検討を加えた.尿路・***奇形は, 高位鎖肛では85.7%, 中間位鎖肛では65.5%, 低位鎖肛では38.1%にみられた.尿路奇形のうちではVURが38.6%と最も多く, 腎形成異常, 上部尿路通過障害, 尿道狭窄も多く認められた.腎機能障害は5例 (高位2例, 中間仕2例, 低位1例) に認められた.鎖肛の根治術以前に尿路変更等の泌尿器科的処置を加えたのは3例のみであったが, それ以外に, 直腸尿路瘻を有するVUR症例などでは, 尿路感染症に対し抗生剤投与などを要した.以上より, 直腸肛門奇形症例においては, たとえ低位鎖肛であっても, 新生児期, 乳児期の早期での泌尿器科的精査が必要であると考えられた.随伴する尿路奇形に対する治療方針は, 人工肛門の術式, 直腸肛門奇形の根治術の時期などを含む直腸肛門奇形自体の治療と密接にかかわっており, 治療の初期の段階からの泌尿器科医と小児外科医との連携が極めて重要である.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1995-08-20

直腸肛門奇形に合併する尿路奇形の検討 : とくに新生児・乳児期の取り扱いについて

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