出生前診断された先天性水腎症 : 腎機能に対する腎盂形成術の効果

概要

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(目的)出生前超音波診断で発見される先天性水腎症に対する治療方針についてはさまざまな考え方がみられる。今回は診断方法と手術適応を一定にさだめて,腎盂形成術前・後の腎機能を中心に,手術成績を検討した。(対象)1991年8月から1996年末までに出生前超音波検査で発見され,出生後の検査でSFU-grade 3〜4の拡張を示し,かつ出生後1カ月以後の利尿レノグラムで閉塞パターンを示した一側性水腎症のうち,術前ならびに術後1年目の利尿レノグラムパターンと相対的分腎機能を比較できた28例28腎を対象とした。(結果)超音波所見による水腎の程度は1腎(grade3)を除くと,残り27腎はすべてgrade4と腎実質の高度菲薄化がみられた。術後の水腎の程度は1腎を除くとすべて改善が認められた。術前の相対的分腎機能は14腎(50%)が45%以下と機能低下を示していた。術後に分腎機能が5%以上改善したのは全体で8腎(29%),術前に腎機の能低下を示した内では6腎(43%),逆に5%以上低下したのは全体で5腎(18%)であった。術後のレノグラムパターンは26腎では非閉塞型に変化し,残り2腎は機能低下型であった。対象とした28腎では手術合併症は認められなかった。(結論)出生前診断された先天性水腎症に対する手術適応を,超音波所見で高度の水腎を示し,かつ利尿レノグラムで閉塞型を示す二条件とした場合には,術後の尿ドレナージと水腎の形態は改善するが,相対的分腎機能の改善は約1/3の症例のみに止まった。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
2000-04-20

出生前診断された先天性水腎症 : 腎機能に対する腎盂形成術の効果

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