深海サンゴ礁 : その普遍的分布と地質学的意義
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概要
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近年, 世界中の海底から多くの深海サンゴ礁が報告されている.その主要構成生物である冷水サンゴは, 熱帯〜亜熱帯の造礁サンゴとは異なり, 光を必要としない.これらは巨礫や海山などの固い底質を好み, 堆積物による蓄積が制限され, 水流が強く栄養塩濃度が高い海域で, 普遍的に円錐〜レンズ型の礁を作る.アイルランド沖ポーキュパイン海盆での深海サンゴ礁は, 水深600〜900mの海底に, 直径2km高さ200mに達する堆積体として存在する.掘削結果によると, 堆積体は主に細粒の粘土・生砕物・石灰質ナノ化石から構成され, 長さ数cm以下のサンゴ片を含む.サンゴは生物浸食作用により埋没前には断片化するが, 生息時に細粒堆積物をトラップする能力をもち, 円錐型の堆積体は安定性を保ちながら成長したと考えられる.深海サンゴ礁から得られた最近の研究成果は, 類似した特徴をもつ地質時代のマッドマウンドの堆積過程や環境を理解するヒントになる.
- 2005-10-15
著者
-
狩野 彰宏
広島大学
-
阿部 恒平
Tsukuba University
-
狩野 彰宏
九大・比文
-
狩野 彰宏
広島大学大学院理学研究科
-
狩野 彰宏
広大・理
-
坂井 三郎
JAMSTEC
-
高島 千鶴
Hiroshima University
-
高島 千鶴
九大・比文
-
佐々木 圭一
Kanazawa Gakuin University
-
不破 裕司
Toyama University
-
Browning Emily
University Of Nebraska
-
田中 明子
Geological Survey Of Japan Aist
-
Cragg Barry
Cardiff University
-
De Mol
Universitat De Barcelona
-
Monteys Xavier
Geological Survey Of Ireland
-
Andres Miriam
University Of Miami
-
Frank Tracy
University Of Nebraska
-
Williams Trevor
Columbia University
-
Gharib Jamshid
University Of Hawaii At Manoa
-
GAILLOT Philippe
Japan Marine Science and Technology Center
-
BJERAGER Morten
University of Copenhagen
-
DORSCHEL Boris
University College Cork
-
FOUBERT Anneleen
Universiteit Gent
-
GREGG Jay
University of Missouri-Rolla
-
HUVENNE Veerle
Southampton Oceanography Centre
-
LEONIDE Philippe
Universite de Provence
-
LI Xianghui
Chengdu University of Technology
-
MANGELSDORF Kai
Geo Forschungs Zentrum Potsdam
-
NOVOSEL Ivana
Rice University
-
坂井 三郎
Japan Marine Science and Technology Center
-
SAMARKIN Vladimir
University of Georgia
-
SPIVACK Arthur
University of Rhode Island
-
TITSCHACK Jurgen
Universitan Erlangen-Nurnberg
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