生体材料に関する研究 : その8 キトサンフィルムの機械的性質とキトサン含有量について

概要

論文の詳細を見る
キトサンは生体吸収性である.このキトサンをリンゴ酸あるいはマロン酸で溶解し, キトサンゾルを作る.そして, キトサンゾルにハイドロキシアパタイトを練り込み, 5%ポリリン酸ナトリウムで中和し, ゾルをゲル化してフィルムを作る.このフィルムの中和後と乾燥後の収縮量, 硬さ, 引張強さと伸びは含有するキトサン量によって, どのように影響されるかを検討した.結論は次のようであった.1.リンゴ酸で溶解したキトサンゾルは中和後の収縮量が大きかった.2.乾燥後の収縮量はマロン酸で溶解したキトサンフィルムが大きかった.3.キトサン量が多いと中和後の収縮量が大きくなった.しかし, 乾燥後には差が認められなかった.4.キトサン量が多いと硬さは大きくなった.また, 乾燥後, キトサンフィルムを湿潤した硬さは中和した硬さよりも大きかった.5.引張強さはキトサン量が多いと大きくなった.また, 乾燥後, キトサンフィルムを湿潤した引張強さは中和後のフィルムより大きかった.6.乾燥後, キトサンフィルムを湿潤した伸びは中和後のフィルムよりも小さかった.
日本歯科理工学会の論文
1995-09-25