チタンおよび歯科用合金のレーザ溶接に関する研究 : 第1報 チタン溶接後の機械的性質に関して
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概要
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補綴物の金属部分の接合には, 一般に埋没法によるろう付けが行なわれているが, その操作は煩雑で時間を要する.レーザは, スポットに高いエネルギーを集めることができるので, 精密な補綴物の接合に応用できるものと考えられる.著者らは, 近年歯科用金属として使用されることが多くなったチタンの接合を目的として, ノーマルパルス発振Nd:YAGレーザ加工機を用いて基礎的な溶接実験を試みた.その結果, 以下のような結論を得た.1.チタンのレーザ溶接には, アルゴンガスによる雰囲気の制御が必須であった.2.チタンのレーザ溶接時の, 最適なアルゴンガスの雰囲気の条件, およびレーザ照射条件の設定のためには, 更に詳しい検討が必要であった.3.大気中でのレーザ照射は, チタン表面にクラックを生じ, 溶接割れや, 機械的性質の低下の一因となった.4.照射エネルギーが増すと, 引張強さ, 降伏強さおよびのびは増加した.5.アルゴンガス吹付雰囲気において, 直径2mmの純チタン丸棒を溶接した時に, チタン母材と同じ程度の引張強さおよび降伏強さを得るには, 21J/P以上の照射エネルギーを要した.6.直径2mmの純チタン丸棒をレーザ溶接した時ののびは, 母材の値の数%にすぎなかった.しかし照射雰囲気とのびの間には有意の差が認められた.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1991-11-25
著者
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伊藤 充雄
松本歯科大学総合歯科医学研究所生体材料部門
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山岸 利夫
松本歯科大学総合歯科医学研究所生体材料部門
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山岸 利夫
松本歯大・総合歯研・生体材料
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増原 英一
総合歯科医療研究所
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増原 英一
総歯研
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伊藤 充雄
松本歯科大
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