チタン(IV)-ポルフィリン錯体試薬を用いる過酸化水素のフローインジェクション分析

概要

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Ti-TPyP試薬{オキソ(5、10、15、20-テトラ-4-ビリジル-ポルフィリン)チタン(IV), TiO(tpypH_4)^<4+>錯体の酸性水溶液}は過酸化水素と反応し, ペルオキソ錯体{TiO_2(tpypH_4)^4+}を生成する.この錯体の吸光度(450nm)は, 過酸化水素濃度に比例し, モル吸光係数(ε)は1.1×10^5M^<-1>cm^<-1>である.従って, Ti-TPyP試薬を用いて微量過酸化水素の定量ができる.本報では, 過酸化水素に対するTi-TPyP試薬の高い選択性を生かし, 更に高い感度と迅速性を得るために, 本試薬を用いる微量過酸化水素のFIAを構築した.検量線は, 10nM〜10μM(1〜1000pmol/test)の範囲において良い直線性(r=0.999)を示し, 検出限界は5nM(0.5pmol/test)であった.又, 1時間に30検体の測定が可能であり, 1.00μM過酸化水素における相対標準偏差は0.97%(n=10)であった.本反応はペルオキソ錯体生成反応に基づいているので, 還元性物質による影響を受け難く, 又, 無機イオンの影響もほとんど見られなかった.本法による雨水中の過酸化水素定量を試みたところ, 含量は0.7〜43μMの範囲にあり, 1.00μM過酸化水素の添加回収率は99.1〜101.9%であった.
1993-06-05