シアン化物イオン標準液の保存安定性と分解生成物
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概要
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シアン化物イオン標準液(0.1〜10 mgl^<-1>, 1000 mgl^<-1>)の6か月間の保存安定性を調べた.保存安定性に影響を与える可能性のある因子として,アルカリの濃度と種類(0.01〜1 mol l^<-1>の水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム),容器の種類(高密度ポリエテレン製容器,ホウケイ酸ガラス製容器,ホウケイ酸ガラス製アンプル),保存温度(5〜40℃)を選定した.その結果,0.1〜10 mgl^<-1>, 1000 mgl^<-1>のいずれの濃度においても保存温度が高くなるに従い,濃度低下が大きくなる傾向にあった.5℃で保存した場合の6か月間の濃度変化は,0.1〜10 mgl^<-1>で-1.1〜-4.8%,1000 mgl^<-1>の場合には,-0.8〜-1.6%であった.また,20℃以上で保存(2か月以上)する場合には,容器自体からの溶出(高密度ポリエテレン,充填剤の溶出)が問題となる場合もあることが分かった.更に長期保存(24〜38か月)した試料中のシアン化物イオンの濃度を測定し,その濃度変化分が,アンモニア及びギ酸に変化したとする場合の理論濃度と実測の結果を比較したところ,よい一致を示した.このことから,シアン化物イオンはアンモニアとギ酸に分解しながら濃度低下を起こしていると推定した.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 2003-08-05
著者
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