PowerPCを用いたハードウェアシステム用のGDBサーバ
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概要
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PowerPCを用いたハードウェアのデバッグを行うツールとしてEngineering Support Processor (ESP)と呼ばれる装置が存在する。ESPは, JTAG (IEEE 1149.1)ポートへのインタフェースとバッファを備えたハードウェアと, それを制御するためのAIX用のソフトウェアから構成されている。これにより, ターゲットシステム上のPowerPCのレジスタやメモリへのアクセス, プログラムのダウンロードと起動, 停止, ブレークポイントの設定などが行える。ユーザインタフェースとしては, X-Windows上のGUIベースのものが利用できるほか, EZsocketsと呼ばれるプログラミングインタフェースも用意されており, これによりネットワークごしにプログラムから制御を行うことも可能である。ESPにより, ターゲットシステム上のプログラムをマシン語レベルでデバッグすることはできるが, Cなどの高級言語で書かれたプログラムをソースコードレベルでデバッグすることはできない。そのような目的には, GNUデバッガ(GDB)のようなシンボリックデバッガが必要となる。GDBではすでにターゲットCPUとしてPowerPCがサポートされており, PowerPC 用プログラムのシンボリックデバッグが行える。しかし, GDB自身を安定していないターゲットシステム上で動かすのは困難である。このような, ハードウェア設計時のデバッグのために, GDBにはリモートデバッグ機能が用意されている。これにより, シリアルラインもしくはネットワークごしにターゲットシステム上のプログラムのデバッグを行うということが可能となる。この際のプロトコルとしては, GDB独自のGDBリモートプロトコル(GDB remote serial protocol)が使用される。我々は今回, このリモートデバッグ機能とESPのEZsockets インタフェースとを橋渡しするプログラム(GDBサーバ/ESP)を作成した。これにより, GDBは安定したホストシステム上で動作させ, ESPごしにターゲットシステムのシンボリックデバッグを行うことが可能となる。本稿ではこのデバッグ環境について, 実装上の考慮点を中心に概要を述べる。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1997-09-24
著者
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