対象モデルの概念に基づくキーボードユニットの機能的モデリングの検討
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概要
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パーソナルコンピュータの設計開発,および保守の環境はディジタル技術の急激な進歩にともない,処理の高度化,高効率化,低コスト化対応の迅速化など多くの要求が増大している.これらの分野における問題解決は高度な専門知識が膨大に必要であり,様々な領域で知識ベースシステムの利用が期待されている.しかし,経験則をプロダクションルールなどの形で蓄積した従来型の知識ベースシステムの多くは現実の問題解決能力が人間の専門家と比べ大幅に劣り,また実用システムを構築するために必要な膨大かつ複雑な知識を獲得し管理することは非常に困難であることが指摘されている.これら浅い知識に基づくシステムが本質的に持つボトルネックを解消するために,専門家が個別の問題解決の前提として持っている多義的で構造化された汎用性の高い知識をシステムに利用する必要が主張され活発に研究が行われている.深い知識と呼ばれるこのような知識は,したがって構造や振舞いといった問題対象そのものの情報を体系化した知識や問題領域の一般的な原理原則の知識などを含むべきである.このような認識を経て,我々は問題解決の対象の構造や振舞いを表現したモデルである対象モデル(object model)の概念を提案し,その表現力法と活用方法について研究を進めてきた.対象モデルは深い知識表現のひとつの提案であり,専門家が問題解決にあたって思い描くメンタルなモデルを指向する.対象モデルでは,関心のある対象を機能的なブロックとして階層的に分解した構成要素をモデルの単位として扱う.これら構成要素の構造と個々の構成要素の振舞いの情報を横糸として対象を表すテンプレートを組み上げ,そのテンプレートの概念上の抽象一具体関係を縦糸としていくつかの抽象度において対象を記述する.現在はコンピュータの構成部品のひとつであるキーボードユニットを対象として対象モデルの概念を実現するようなモデリング法を検討している.近年ではキーボードの内部にさえその機能美現のためにしばしば汎用性の高いマイクロプロセッサが利用されている.このため,対象を機能的なブロックとして捉えようにも,特定の機能が特定の部分構造に直接対応していない点が問題となる.すなわち,ひとつのプロセッサがプログラムによって様々に機能している.そこで(1)このような対象を機能的なブロックとして捉える意義,および(2)対象モデルにおける機能ブロックの位置づけ,(3)機能ブロックの表現法,などをキーボードのモデリングを通して議論する.なお対象とするのは本研究のために仕様を決定した仮想的なキーボードであり,研究環境にはフレーム型知識表現言語ZERO [6]を用いている.
- 1990-03-14
著者
-
大森 康正
東京電機大学理工学部経営工学科
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上野 晴樹
東京電機大学理工学部経営工学科
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上野 晴樹
東京電機大学
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福田 秀一
日本ibm(株
-
山本 雅仁
東京電機大学 理工学部
-
山本 雅仁
東京電機大学理工学部
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