自然な発話における漸次的精緻化
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概要
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自然な発話(spontaneous speech)における「いい直し」や「いい淀み」の現象は、これまで文法的な崩れとして扱われ、分析されることが多い。また、自然な発話に対する解析の枠組を考える際にも、"ロバストバージング"という言葉に象徴されるように、これらの文法的な崩れを如何にして吸収し、頑健な解析を実現するかという観点から、検討されている。しかし、日常の対話行動に見られる発話(spoken lauguage)と、テキストを「書く」あるいは「読む」際に用いられる書き言葉(written language)とは、その産出過程、メッセージの伝達形態に大きな隔たりがあることは明らかであり、自然な発話の生成過程、メッセージの伝達形態に立脚した新たな解析モデルの構築が求められる。我々は、これまで文法的な崩れと考えられていた、自然な発話に見られる様々な現象に着目し、特に生成的な側面から新たな規則性、構造性を見い出すための分析と現象のモデル化を進めている。本稿では、自然な発話における漸次性(incrementality)、および発話が段階的に適切なものとなっていく過程(ここでは、"発話における漸次的精緻化(incremental elaboration)"と呼ぶ)を、自然な発話に内在する基本的な性質として捉え、この観点から自然な発話に見られる、様々な現象に対する考察を行なった。
- 社団法人情報処理学会の論文
- 1993-03-01
著者
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