パン酵母の貯蔵中における細胞内タンパク質分解酵素の活性化
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概要
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圧搾パン酵母を30℃で貯蔵すると大体10日前後で泥状に融解し, いわゆる「軟化」の現象を呈し, 細胞外に溶出されるアミノ態窒素(ペプタイド及びアミノ酸)が急増することが知られている.そこで, 本報ではこのアミノ酸窒素の増加と細胞内プロテアーゼ活性の関係について検討した.酵母には3種類の細胞内プロテナーゼが存在しており, それぞれプロテナーゼA, B, Cとされているが, この3種のプロテナーゼのうちでプロテナーゼC活性だけが溶出アミノ態窒素の増加と相対的な関係にあることが認められたから, 溶出アミノ態窒素の増加はプロテナーゼCの活性化に由来するものと考えられる.一方, 貯蔵初期の酵母よりえたプロテナーゼ粗酵素液は25℃で処理することにより活性化されたが, 貯蔵が進むともはやこの処理では活性化されなくなった.プロプロテナーゼの活性化がin vitroで種々検討されて, プロテナーゼのin vivoでの活性化機構が推論されているが, 本実験の結果からすると, その活性化機構はin vivoとin vitroでは相異するものと考えられる.
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 1972-06-25
著者
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