ヒノキ人工林の一次生産

概要

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名古屋大学農学部付属稲武演習林(愛知県北設楽郡稲武町)に植栽されている18年生ヒノキ人工林(1974年現在)の物質生産について研究した。胸高直径の頻度分布はワイブル密度関数によく適合していた。また, 樹幹解析から求めた単木の生長量とその胸高直径との間の関係は, べき乗式で近似された。これらの結果と, また単木の各器官の重量とその胸高直径の間に成立していた相対生長関係とを考慮して, 林分現存量と林分生長量を推定する式を誘導した。この推定法に基づき, 林分現存量(生長量)を推定するための野外調査の簡略化について議論した。積み上げ法から推定された総生産量は41.2t(dry matter)/ha・yrであった。この推定値は, 光合成法からの推定値43.0t(dry matter)/ha・yrに非常に近かった。既報の報告値を考慮することにより, 現存量の増分に対する呼吸量の比と, 現存量の生長率との間には双曲線関係が認められた。このことは, 現存量の増分に対する呼吸量の比が, 生長の盛んな若い林では現存量の生長率に無関係に一定となり, 一方, 生長の衰えた極相林のような林では生長率に反比例することを物語っている。
1983-10-25