照葉樹林の葉層にふくまれるクロロフィル量とその季節変化について
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概要
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照葉樹林の光合成速度の推定に関する研究の一環として, 我々は水俣IBP特別研究地域内の方形区Q15および12において, コジイ, イチイガシ, その他数種の樹種について, 葉高別にクロロフィル量を定量した.葉層上部の葉にふくまれるクロロフィル量は, 下部の葉にくらべて, 顕著な季節変化をしめした.試料葉のクロロフィル含量とその葉が葉層内で受けていた相対照度との関係は, (1)式で近似され, 冬期には葉層上部から下部にむかって, クロロフィル含量はしたいに減衰し, 夏期には葉層全体にわたってほぼ一様なクロロフィル含量をしめした, 葉層内での光の減衰関係(2)式を仮定することによって, (1)式から葉層全体のクロロフィル量を推定する式, (3)式をみちびいた.葉層の全クロロフィル量は, 6月から秋にかけてしだいに増大し, 冬期に最大量(40kg/ha)に達し, 葉の更新がはじまる春から初夏にかけて減少し, 20kg/haになった.さらに葉層の総光合成速度との相関についても考察した.
- 日本生態学会の論文
- 1973-10-20
著者
-
穂積 和夫
名古屋大学農学部
-
桐田 博充
大阪市大, 理, 生物
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穂積 和夫
大阪市大, 理, 生物
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桐田 博充
大阪市大 理 生物
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桐田 博充
大阪市立大学理学部植物生態学研究室:(現)農林省草地試験場生態部
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