道東地方における林木の冬の乾燥害

概要

論文の詳細を見る
1966年冬から'67年の春にかけて道東地方は積雪がほとんどないうえに, 低温と乾燥状態がつづいた。そのために, 前年春に植栽されたトドマツ, アカエゾマツ, ストローブマツなどの幼木が多量に枯死した。冬期間, トドマツ, アカエゾマツの幹や葉は少なくとも-50℃の凍結に耐えるが, 被害地では気温はせいぜい-30〜-35℃までしか低下しなかった。道東地方では南斜面でも土壌は12月中旬から3月中旬まで凍結しているし, 平坦地では凍結深度は50〜70cmに達する。南東斜面で越冬しているトドマツの地際近くの幹の温度は日中約15℃まで上昇するが, 夜間は-15〜-20℃まで低下する。こうした条件下で越冬しているトドマツは, 2月下旬, 幹の靱皮組織の含水量は生重量当たり25〜40%まで低下していた。被害木の多くは幹に褐変が認められた。褐変の位置は被害が大きいほど幹の下方に認められる傾向がある。褐変部を境としてその上方は枯死し, その下方は正常であった。一方, グラウカトウヒとトドマツの鉢植苗で人工的に幹の中央部から上方だけを乾燥して枯死させた時, 生存部分と枯死部分との境界に被害地で認められるような褐変が見出された。以上の事実から, 道東地方における1966年冬から'67年春にかけての林木の被害の大部分は土壌凍結地帯での乾燥によっておこったものと考えられる。
1969-05-25

道東地方における林木の冬の乾燥害

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク