ポプラ類の凍害に関する研究(I) : 改良ポプラ品種間の耐凍性の差
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概要
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改良ポプラ16品種の挿木当年生の苗木を用いて, 品種間の耐凍性の差および耐凍性増大過程と成熟過程の関係をあきらかにするために, 1964年9月から1966年2月までの間, これらの耐凍性増大の季節変化, 伸長の停止時期, 幹のコルク化, 形成層の活動停止期, 澱粉の各組織への蓄積と減少, 休眠およびその打破の時期などについて調べた。1)品種間の耐凍性増大過程凍結に耐えられるようになる時期は品種によってかなり異なり, 9月中旬から10月初旬の間である。その後外気温の低下につれて耐凍性は増大し, 12月下旬頃に, その最高値に達する。耐凍性の増加する進度は品種によってかなり異なり, 品種間の耐凍性の差は10月, 11月に著しく, 12月中旬にその差は非常に少なくなる。10月中旬に人工的に低温処理(Hardening)した場合に, 品種間の耐凍性の大きさの差はもっともあきらかになる。ポプラ類16品種は耐凍性の大きさから次の3つのグループに大別できる。P.gelrica, P.robusta, P.regenerata, P.purlacher, P.Eckhof, P.Eucalyptus, >P.marilandica, I-476,I-214,P.Bachelieri, I-45/51>P.Jacometii, I-154,I一262.P.C.B.D, I-455.2)品種間の成熟過程の進度の差ポプラ類が冬芽を形成して伸長を停止するのは9月初旬から9月中旬の間で, 伸長停止の時期が早いものほど耐凍性のたかまりかたが早く成熟過程の進度も早い。ポプラ類が休眠に入るのは9月中旬から10月初旬の間で, 伸長停止の早いものほど早く休眠に入る。また休眠が打破するのは10月中旬から11月中旬の間である。休眠期間の長さは約20日ないし50日間で, 一般に休眠期間の長い品種は耐凍性が高い傾向がみとめられる。以上の結果から, ポプラ類品種間の耐凍性の差は生育過程の早晩と密接な関係がある。
- 日本森林学会の論文
- 1966-07-25
著者
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