フサアカシヤ林の生産力 : 岡山地方4年生林の一例
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概要
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岡山県玉野市郊外のせき悪地に播種造林によって成立した4年生フサアカシヤ林で生産力の調査を行なった。A区はすでに閉鎖状態, B区はようやく閉鎖完了した林分で, ともにhaあたり4,000本植である。B区と地位はほぼ等しく2,000本植の未閉鎖区(C区)も調査した。各区とも120〜220m^2の標準地からそれぞれ13〜20本の標本木を選んで伐倒し, 幹, 枝, 葉および果実にわけて重量を測定し, 幹は樹幹析解に供した。林分の現存量の推定方法は胸高断面積合計による比推定法と相対生長関係を利用した方法を用いた。根の重量は本調査地の近くで得られたT-R比の平均2.3を用いて推定した。現存量はA区51.9ton/ha, B区42.3ton/ha, G区19.4ton/ha, と地位, 密度の違いによって差がみられた(表-2)。枯損や被食量を無視した1年間の純生産量は, 相対生長関係を用いて求めた現在と1年前の材部重の差に, 現存着葉量の1/2,および果実量を加えたものとしたが, A区では地上部で20.7ton/ha, 地下部を合わせて29.7ton/haであった。これは森林の生産力としては他樹種と比べても高い。より地位の低いB区では地上部で11.8ton/ha, 地下部を合わせても16.9ton/haとかなり生産力は低かった。閉鎖した林分(A区)の葉乾重量は4.3ton/haと常緑広葉樹としては少なかったが, 単位葉量あたりの年間幹材積生産量は5.6dm^3/kgであった。葉の幹への生産能率は他樹種に比べてかなり高い。
- 日本森林学会の論文
- 1967-04-25
著者
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