林木の生長過程を考慮した生産構造図の新たな解釈とその有用性
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概要
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パイプモデルは, 林分表面からある深さzまでの積算葉量F(z)とその深さにおける非同化部量C(z)との直線関係から導かれたもので, それは植物形の特徴を端的に表現している。生産構造図はある時点における同化部と非同化部を対比して表すものであるが, 植物とくに林木の成長過程を考慮すればC(z)は非同化部の毎年の生長量の蓄積とみなすべきである。樹冠(林冠)の葉量密度がある高さを通過する間変化しなければ, F(z)は, 樹高がある高さに達してからzだけ樹高生長する間に, その高さで支え続けてきた葉量の合計とみなすことができる。また樹冠直下の非同化部量Wσは, C(z)が生長量の蓄積であることから, 非同化部の生長量に相当すると推論される。この推論から, F(z)とC(z)比である比パイプ長は時間の次元をもち, その逆数は葉の能率に等しいであろうと考えられる。スギとヒノキの単木について検討した結果, これを裏づける事実が確かめられ, 樹冠直下1mの長さの幹重は非同化部全体の1年間の生長量にほぼ等しかった。Wσを用いることによって森林生産力の推定法をより簡便で効率的なものに改善できるであろう。
- 日本森林学会の論文
- 1988-06-01
著者
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