森林作業における乗用モノレール導入の経済的効果

概要

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乗用モノレール利用による経済的効果を明らかにするために北海道大学和歌山地方演習林において通勤歩行との比較実験を行った。往復所要時間の分析結果からは,モノレール利用の場合は歩行に比べて15〜29分の時間短縮効果があり,その経済的効果としては1人当り575〜1,131円の人件費を削減できることが明らかになった。モノレール導入による到達時間の短縮効果シミュレーション結果からは,シミュレーション対象地の6〜8割の面域で1〜20分の時間短縮効果が認められた。モノレール沿線の施業を考慮した損益シミュレーション結果からは,標準施業を行う場合の時間短縮効果による人件費の削減分だけでは,いずれの林地傾斜においても路線水平距離が伸びるほど,損益差額の赤字が大きくなることが明らかになった。しかし,これ以外に素材単価2万円/m^3の間伐収入を2回見込んだ場合は,いずれの林地傾斜においても損益差額に黒字の部分が見受けられた。以上の結果から,モノレール導入の経済的効果を考える場合には,時間短縮効果だけでは不十分であり,モノレール導入による付加価値を考慮に入れる必要性が示唆された。
日本森林学会の論文
1996-11-16