スギ黒点枝枯病の伝染環
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概要
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スギ黒点枝枯病について, 病原菌子のう盤の発生時期, 雄花に発生する1次感染時期および感染落下雄花によって生じる2次感染時期を調査した。さらにこれらの結果と既存の知見とを総合的に組み合わせ, スギ黒点枝枯病の伝染環を提示した。1年を通じて子のう盤の発生消長を調査した結果, 融雪直後の3月上旬にはじめて子のう盤の発生が確認され, 4月下旬まで認められた。しかし, 春期以外は全く確認されなかった。子のう胞子による雄花の1次感染時期は春期3月上旬から5月中旬と推定された。この時期の雄花は花粉飛散中から花粉飛散終了の状態にあり, 子のう胞子の発芽および菌糸の伸長の場として最適の状態にあると思われる。6月上旬に雄花枝に着生した雄花基部より, はじめて白色菌糸膜の出現が確認されたことから, 本病菌の雄花における潜伏期間は約2〜3か月であると推定された。病原菌感染雄花による側枝への2次感染時期は, 雄花が多数落下する4月上旬から5月上旬と推定された。さらに, これら病原菌感染雄花の付着による2次感染では, 6月下旬から7月上旬に病斑形成がみられた。これら発病枝は, 短期間に本病の典型的な主枝枯症状に発展したことから, 2次感染は1次感染よりも多大の被害を引き起こすことが示唆された。疫学的見地からスギ黒点枝枯病の伝染環を8段階に区分した。
- 日本森林学会の論文
- 1996-05-16
著者
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