ヒノキとサワラの種間雑種および園芸品種のDNA分析
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概要
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ヒノキとサワラの自然雑種であるヒノキ精英樹の富士2号と, ヒノキおよびサワラの園芸品種を対象として, 核ゲノムのRAPD分析と葉緑体ゲノムのSSCP分析を行った。富士2号のRAPD分析の結果, ヒノキおよびサワラに種特異的なPCR産物(バンド)がともに検出され, このクローンは両樹種間の雑種であることがDNAレベルでも確認された。さらに, 葉緑体ゲノムのSSCP分析の結果, 富士2号の葉緑体ゲノムはヒノキ型を示し, この自然雑種は花粉親をヒノキ, 母親をサワラとする交配組合せによってできたことが明らかとなり, 両樹種間の交雑育種における新しい知見が得られた。また, ヒノキとサワラの園芸品種(5品種)の分析の結果, それぞれの種に特異的なバンドが出現し, これらがヒノキもしくはサワラの突然変異体であることが確認された。以上の結果から, RAPD分析やSSCP分析によって得られるDNA分子マーカーは, 種間雑種における親の交配組合せの決定および突然変異体の由来を調べる上で有用であることが明らかとなった。
- 日本森林学会の論文
- 1996-05-16
著者
-
白石 進
九州大学農学部林産学科
-
渡辺 敦史
九州大学農学部
-
佐々木 義則
大分県林業試験場
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渡辺 敦史
(独)林木育種センター
-
楢崎 康二
九州大学農学部
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冨田 啓治
九州大学農学部
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白石 進
九州大学農学研究院
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