側方浸透流量に占めるパイプ流量の割合

概要

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斜面土層中におけるパイプ流の実態を明らかにするため、1次谷流域の側壁斜面下端に設置した集水トレンチにおいて、トレンチからの全流出量である側方浸透流量および各パイプの流量を個別に測定し、マトリックス流量とパイプ流量を分離した。その結果、各パイプは流量が異なるにもかかわらず互いによく似たハイドログラフを示した。各パイプ流量を合計した全パイプ流量の側方浸透流量に占める割合は、降雨量により異なり小雨のときの0%から観測期間最大の降雨量70.5mmのときの70%まで変化した。全パイプのピーク時流量の側方浸透流量に占める割合は降雨強度により異なり、5mm/h以上で60%を超え約15mm/h以上で90%を超えた。融雪水の影響のない7月から10月までの4ヵ月間の側方浸透流量に占めるパイプ流量の割合は56%を占め、観測した側壁斜面ではパイプ流が卓越していることが判明した。パイプ流とマトリックス流の関係は、増水時から減水時にかけヒステリシスが認められたが、減水時のパイプ流量はマトリックス流量の約1.6乗に比例した。
日本森林学会の論文
1994-01-01