「AのB」型名詞句の日英翻訳規則について

概要

論文の詳細を見る
「AのB」の形式の名詞句を対象とする日英機械翻訳において,名詞の文法属性と意味属性の情報によって,どれだけの精度で英語表現形式が決定できるかについて検討した.具体的には,まず,アンカー和英辞典から取り出した2,000件の「AのB」型名詞句のうち,名詞句の部分に対応する英語表現が切り出せる標本約1,100件の英語表現形式を57通りに分類した.次に,その中から最もよく使用される形式8種類に翻訳できる場合について翻訳規則を作成した.また,翻訳規則の記述では,名詞A,名詞Bを規定するための文法属性として,26種類の品詞コードを,また,意味属性として,「日本語語彙大系」で定義された約2,700の単語意味属性を使用した.得られた翻訳規則を同じ和英辞書から取り出した別の1,000件の名詞句翻訳に適用して,規則の精度を評価した結果によると,規則が適用できたのは(再現率),名詞句は83.3%である.目標としていた翻訳規則のカバー率90%と比較すると,若干低い結果であった.また,正解率では,模範訳と一致した訳が約69%,一致しないが正しいと判断される例を加えると約76%である.ほかに,文脈によっては,誤りとなるものが多数(18%)存在するが,これらは,必ずしも誤りといえず,明確な誤り(6%)は比較的少ない.これらの結果から,名詞Aと名詞Bの文法的,意味的性質に関する情報によって英語表現形式が決定できる名詞句は80%程度であり,残りの20%については,文中でのその名詞句の役割などを考慮する必要があること,また,その場合は,動詞との格関係が重要な判断情報となることなどが分かった.
一般社団法人情報処理学会の論文
2002-07-15

「AのB」型名詞句の日英翻訳規則について

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク