激害型枯損マツより分離した異常代謝産物のマツ幼苗およびマツノザイセンチュウに対する作用
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概要
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激害型枯損マツより分離, 同定した4種類の異常代謝産物, 安息香酸 (BA), カテコール (CA), 8-ハイドロキシ力ルポタンアセトン (8-HCA), およびジヒドロコニフェリルアルコール (DCA) のマッ幼苗およびマツノザイセンチュウに対する作用をしらべた。マツの幼苗に対する BA, CA および DCA の毒性は, 本病に抵抗性のテーダマツやりキダマツに対するよりも罹病性のクロマツに対してやや強かった。8-HCA の D-体 は L-体よりもマツに対する毒性が強かった。8-HCA の D-体と BA, また DCA と BA との間に弱い協力作用が認められたが, 協力作用は3年生の苗木に対してより強くあらわれるようである。8-HCA の L-体 と DCAはマツノザイセンチュウの増殖をそれぞれ30, 10 ppmで阻害するが, マツに対して低濃度で毒性を示す BA と CA は100 ppmにおいてもセンチュウの増殖を阻害しなかった。8-HCAのD-体は 100 ppmでも阻害しなかった。また, 何れの物質も低濃度でセンチュウの増殖を促進した。BAには高濃度で, 処理12時間後にセンチュウに対する忌避作用が, 低濃度で誘引作用が認められた。8-HCA の D-体には忌避作用がみられた。15〜25年生のアカマツにセンチュウを接種すると, 20日後には BA と 8-HCAが検出され, その後 BAは増加して, 50日後には 300μg/g乾重を越えた。接種50日後には4物質とも検出され, その濃度は何れも, 生理活性を発揮する濃度の範囲内であった。したがって, 感染木に蓄積するこれらの異常代謝産物は, 激害型枯損病の枯損過程に複雑に影響しているものと考えられる。
- 日本植物病理学会の論文
- 1985-07-25
著者
-
白石 友紀
岡山大学農学部総合農業科学科
-
奥 八郎
岡山大学農学部
-
山元 広海
岡山大学農学部:(現)日本チバガイギ-(株)農薬本部
-
太田 宏
岡山大学農学部
-
白石 友紀
岡山大学農学部植物病理学研究室
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