レジスタスウィンドウ方式を用いた擬似ベクトルプロセッサの評価
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概要
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レジスタウィンドウ方式を用いてべクトル計算を高速に処理する新しい擬似べクトルプロセッサを提案する.提案するプロセッサは,スーパスカラ方式を前提としているが基本的にスカラアーキテクチャであり,べクトル命令やべクトルレジスタを有するものではない.スカラプロセッサではキャッシュミス時の主記憶アクセスペナルティによる実効性能の低下が問題となる.ここで提案するプロセッサでは,データキャッシュの代りにレジスタウィンドウ方式により拡張した浮動小数点レジスタを採用し,さらに主記憶アクセスをパイプライン化することでこれを解決する.1つのベクトル命令の処理内容は複数のスカラ命令を垂直マイクロプログラム的に使用することにより擬似的に処理される.これらの特徴により,提案するプロセッサは既存のスカラアーキテクチャとの上位互換性を保つことが可能である.本論文では,提案するプロセッサのアーキテクチャとその処理原理を説明し,べンチマークを用いた性能評価結果を示す.評価した結果,提案するプロセッサは主記憶アクセスペナルティが20CPU Cycleの時に,拡張を行わないスカラプロセッサに対して約10倍の性能,キャッシュへのプリフェッチを行うプロセッサに対しても約1.4倍の性能を達成することがわかった.また,30CPU Cycle程度までの主記憶アクセスペナルティをほぼ完全に隠せることがわかった.また,レジスタウィンドウの構成方法の相違による性能への影響についても検討した。これらの評価結果より, 提案するプロセッサは主記憶アクセスペナルティによって実効性能が低下することなく,高速にベクトル計算を処理できると結論できた.
- 1993-04-15
著者
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