837. 白亜紀アンモナイト数種の成長に伴う殻形変異と流線効果
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概要
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北海道産の後期白亜紀アンモナイト17種の集団標本を用いて, 成長に伴う殻形パラメータの変化を比較検討した。検討したパラメータは, Raupによって提唱された螺環拡張率(W), 螺環被覆率(D), 螺環の高さに対する幅の比(S), 側面の相対的位置(F)の4つである。これらのうち, D, SおよびFは, 幼期には種間で大差ないが, 成長に伴って大きく異なるようになる。成年期には, 表面装飾の乏しいフィロセラス超科やデスモセラス超科の種ではSやDは小さく, かつそれらの種内変異量も小さい。逆に, 表面装飾の著しいアカントセラス超科や異常巻のスカフィテス科の種では, S, Dは大きく, それらの種内変異量は大きい。従来の流体実験の結果では, S, Dは流線効果に大きく関与し, それらの小さい平滑型の類は小さい抗力係数を持つことがわかっている。一方強い刺や肋は, 流線効果にはマイナスでも捕食者に対する防御として効果的であったと考えられる。以上のことから, 白亜紀アンモナイト類に認められる殻形の大きな変異は, 多様な生活様式と対応した適応形態を反映していると推察される。
- 日本古生物学会の論文
- 1987-10-30
著者
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重田 康成
Department of Geology and Paleontology, National Science Museum
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重田 康成
Department Of Geology And Paleontology National Science Museum
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重田 康成
Geological Institute University Of Tokyo
-
棚部 一成
Univ. Tokyo Tokyo Jpn
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棚部 一成
Geological Institute, University of Tokyo
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