624. 白亜紀後期二枚貝 Inoceramus (Sphenoceramus) naumanni YOKOYAMA emend. の進化と生活様式
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概要
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南樺太内淵地域・北海道中軸北部達布地域および中軸南部浦河地域に分布する上部白亜系サントニアン〜カンパニアンから連続的に採集されたInoceramus (Sphenoceramus) naumanniの集団標本について, 個体群に基づき産状・成長を生物統計学的に考察した。その結果サントニアンの標本については, 外層の厚さが殻高に対して著しい劣成長にあることや, 産状ならびに形態から, 全期間を通じて足糸で流木や海藻に付着した擬浮遊性の生活様式を有していたと考えられる。これに対してカンパニアンの標本については, 個体発生の途中でそれまでの同心円肋に加えて分岐肋の発生が認められ, しかも時間とともに次第に早く現われるようになる。分岐肋の発生に伴って殻高に対する殻の膨らみ・外層の厚さは, それまでの劣成長から優成長に変わることや, プリズムのサイズが急に大きくなることから, このような成長は殻の重量の急激な増加を引き起こすと考えられる。したがって本種における分岐肋の発生は, 擬浮遊性から底生への生活様式の変化に伴う適応形態と考えられる。さらにこの変化は, 本種の個体発生のみならず系統発生においても認められることを明らかにした。
- 1973-12-20
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