ロシア極東・サハリン南部・マカロフ地域の白亜系層序と化石群
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
マカロフ地域の白亜系蝦夷層群について,層序学および古生物学の視点から包括的な調査研究を行った.本地域に分布する蝦夷層群は,サントニアン期からマストリヒチアン期に及び,層厚は2,500mに達する.下位からブイコフ層とクラスノヤルカ層に区分される.ブイコフ層は主に沖合成の泥岩から成り,下位からB1〜B4の4岩相ユニットに区分される.一方,クラスノヤルカ層は主に沿岸成の砂岩やデルタ堆積物から成り,下位からK1〜K4bの5岩相ユニットに区分される.クラスノヤルカ層の最上部を除き,化石は豊富に産出する.特に,パキディスクス科,テトラゴニテス科,ゴードリセラス科のアンモノイドが豊富に産出する.Sphenoceramus schmidti(カンパニアン期中期)も多産し,特徴的な化石帯として広く追跡できる.国際対比に有効な属種の産出は少ないが,カンパニアン期からマストリヒチアン期までのほぼ完全な化石群が連続的に観察できることは注目される.蝦夷層群の化石群の組成や泥岩の堆積学的な特徴はサハリン南部や北海道を通じて似ている.幾つかの化石帯は岩相層序境界と斜交するが,同一の岩相や生物相が南北1,200kmにわたり分布する.このような堆積や動物群の均質性は蝦夷層群の著しい特徴である.本論文では,Hypophylloceras (Neophylloceras) victrienseとGaudryceras makarovensの2新種を含む14属25種のアンモノイドを記載した.
- 国立科学博物館の論文
- 2005-12-28
著者
-
前田 晴良
Department Of Geology And Mineralogy Graduate School Of Science Kyoto University
-
重田 康成
Department of Geology and Paleontology, National Science Museum
-
Fernando Allan
Department of Earth and Planetary Sciences, Graduate School of Science, Hokkaido University
-
岡田 尚武
Department of Earth and Planetary Sciences, Graduate School of Science, Hokkaido University
-
Fernando Allan
Department Of Earth And Planetary Sciences Graduate School Of Science Hokkaido University
-
重田 康成
Department Of Geology And Paleontology National Science Museum
-
岡田 尚武
Department Of Earth And Planetary Sciences Graduate School Of Science Hokkaido University
-
前田 晴良
Department Of Geology And Mineralogy Division Of Earth And Planetary Sciences Graduate School Of Sci
関連論文
- ロシア極東・サハリン南部・プガチェボ地域のマストリヒチアン階アンモノイド化石群
- ロシア極東・サハリン南部・マカロフ地域の白亜系層序と化石群
- サハリンにおける蝦夷層群研究史
- ロシア・サハリン州南部ナイバ川(内淵川)流域に分布する白亜系上部の化石層序と古地磁気層序
- 北海道東部根室層群から新たに産出した後期白亜紀軟体動物化石とK/T境界の層準について
- 現生マングローブ干潟におけるキバウミニナの殻の保存状態と分布
- アンモノイドの遺骸は浮くか沈むか?
- ロシア・北カムチャッカの白亜紀アンモナイト
- ロシア共和国サハリン州クリリョン半島の上部自亜系層序
- 26 サハリン南部上部白亜系の古地磁気層序と化石層序
- 北海道東部の上部白亜系および下部古第三系根室層群の石灰質ナンノ化石と生層序
- 栃木県塩原層群(更新統)の層序と珪藻質葉埋泥岩のタフォノミー
- 北海道上部白亜系産 Gabbioceras 属アンモナイトについて
- Gyronautilus, a new genus of Triassic Nautilida from South Primorye, Russia
- 837. 白亜紀アンモナイト数種の成長に伴う殻形変異と流線効果
- 白亜系アンモナイト数種の成長に伴う殻形変異と流線効果〔英文〕
- 北海道におけるセノマニアン/チューロニアン階境界の年代
- 北部九州古第三系の石灰質ナノ化石と生層序
- 952. 白亜紀後期の偽プゾシア類アンモナイト, Yokoyamaoceras Wright and Matsumoto, 1954 および Neopuzosia Matsumoto, 1954 の二型現象
- 846. 北海道北西部達布地域の白亜系蝦夷層群のアンモナイトのタフォノミーについて