軟鋼梁の均一曲げに對する強さ(第2報)
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概要
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軟鋼の梁の断面の形が対称的でないものに均一曲げモーメントをかけると、降伏點が二つ出て来る。梁は第一の降伏點に達するまでは殆んど弾性的であつて、この範囲では荷重-撓み曲線は一つの直線で表される。第一の降伏點で荷量-撓み曲線は急にまがつて、それ以後は荷重を増すと共に撓みも増して来る。かくて第二の降伏點に達すると、荷重-撓み曲線はまた急に曲がり、それ以後は梁の全體の長さが降伏してしまふまで水平な直線になる。今梁の断面の形は対称的ではないので、中正軸に對して一方の側は内力が比較的大きく、他の側は小さい。第一の降伏點はこの一方の降伏を起し易い方の側が降伏を始める點であり、第二の降伏點は他の側が降伏を起す點である。材料が均等内力を受けるときと、然らざるときとは、降伏するときの最大内力の値は違ふものである。均等でない場合の最大内力の方が餘程大きい。これは結晶粒がお互に干渉してゐるためである。梁の場合には内力や最も大きい所、即ち外側の部分が先づ最初に降伏を始めるのであるが、この降伏に對して干渉してゐる範囲は、その降伏しやうとする點から中正軸までゞあると考へられる。さう考へると第一降伏點は容易に計算することが出来る。そしてその計算は、種々の形の梁について實験した結果とよく一致する。第二降伏點も同じ考へで計算することが出来るが、たゞ第一の降伏點を越して後は、内力の分布状態が變り、中正軸の位置までも變つてくるので、此計算は相當面倒である。計算した値は實験の結果とよく一致する。なほこの計算で第二降伏點に於ける中正軸の位置が出てゐるから、それから直ちにこの點に於ける梁の撓みを出すことが出来る。第一降伏點に於ける撓みは分つてゐるから、第二と第一の各降伏點に於ける撓みの比を計算することは容易である。この計算も實験とよく一致する。
- 社団法人日本機械学会の論文
- 1931-01-18
著者
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