川崎病冠動脈瘤患者にみるT細胞サブセットの不均衡と冠動脈病変部位のHLA-DR抗原陽性血管内皮細胞の存在
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
川崎病の血管炎の発生機構を, 末梢血と冠動脈病変組織の免疫担当細胞の分布から解析し, 以下のことが明らかとなった.(1)末梢血T細胞サブセットの分析の結果, 冠動脈瘤症例の11例では, 瘤形成期に相当する第2病週でOKT4陽性細胞の比率の増加とOKT8陽性細胞の比率の低下を認め, OKT4/8比は同年齢対照児に比し高値で(p<0.01), 特に巨大冠動脈瘤症例では顕著であった.これら冠動脈瘤症例個々の第2病週のOKT4/8比は回復期においていずれも低下した(p<0.005).一方, 冠動脈瘤を生じることなく経過した35例では, 全経過を通じOKT4/8は正常であった.このような冠動脈瘤症例に認められたT細胞サブセットの異常から, 川崎病血管炎の発症に免疫応答機構の異常が関与していると考えられた.(2)18病日で死亡した症例の冠動脈病変組織に浸潤する細胞の表面抗原をペルオキシダーゼ酵素抗体法にて解析した.血管炎部位ではHLA-DR抗原を表現していると考えられる多数のマクロファージと活性化T細胞が浸潤していた.しかし, B細胞や好中球の存在は皆無であった.これら浸潤像から, 血管炎の発症に関する免疫学的機序として遅延型過敏反応が示唆された.(3)動静脈血管の内皮細胞がHLA-DR抗原を強く表現しており, HLA-DR陽性の血管内皮細胞の周囲には必ず細胞浸潤が認められた.これらHLA-DR陽性の血管内皮細胞が川崎病血管炎部位の免疫反応の誘導として働いている可能性が推測された.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1987-07-30
著者
-
丹羽 公一郎
千葉大学医学部小児科
-
三方 淳男
千大
-
梅宮 敏文
千大・一病理
-
寺井 勝
東京女子医科大学八千代医療センター小児科
-
河野 陽一
千葉大学小児科学教室
-
寺井 勝
千葉大学医学部附属病院 小児科
-
寺井 勝
千葉大学小児科
-
中島 博徳
船橋中央病院(社保) 小児科
-
中島 博徳
千葉大学小児科
-
丹羽 公一郎
千葉大学小児科
-
梅宮 敏文
千葉大学病理
-
三方 淳男
千葉大学病理
-
三方 淳男
千葉大学医学部病理学第一講座
-
河野 陽一
千葉大学小児病態学
関連論文
- 司会の言葉
- 174. 穿刺吸引細胞診による甲状腺髄様癌の一例(甲状腺2)(第30回日本臨床細胞学会秋期大会学術集会)
- 43. 頚椎後縦靭帯肥厚および骨化症に対する免疫組織科学的検討(第912回千葉医学会整形外科例会)
- 悪性リンパ腫の初期像と境界領域病変 : AILD・IBLを中心に
- 15. 小腸に広範な浸潤を認め経過中に白血化をきたしたNK細胞リンパ腫の1例(第947回千葉医学会例会・第二内科例会)
- 42. 肺原発悪性リンパ腫の1例(第942回千葉医学会例会・第31回肺癌研究施設例会)
- 46. 濾胞性リンパ腫の臨床的検討(第2部,第894回千葉医学会例会・第二内科例会)
- II-6. MACOB-MECP療法が奏功したNon-Hodgkin's lymphomaの1例(第910回千葉医学会例会・第二内科例会)
- 頚椎後縦靭帯肥厚における増殖細胞核抗原(PCNA)の発現
- 41. 悪性線維性組織球腫(MFH)を疑われた腹膜原発腫瘍の1例(第867回千葉医学会例会・第二内科例会)
- 23.横紋筋肉腫の臨床病理学的検討(第794回 千葉医学会整形外科例会)
- 42.リウマチ性多発筋病症(PMR)の経過中に特異なERCP像を呈した1例(第792回 千葉医学会例会・第二内科例会)
- 32.大量下血を主訴とした胃動静脈奇形の1例(第790回千葉医学会例会・第一外科教室談話会)
- 13.最近経験した口腔領域の悪性リンパ腫の1例(第766回 千葉医学会例会・第8回 歯科口腔外科例会)
- 小児期肥大型心筋症全国調査結果
- 先天性心疾患における感染性心内膜炎の発生頻度,予防,治療に関する全国調査 : 第1報
- 小児のBacteroides肝膿瘍の一治験例
- 46. 肝左葉切除を施行した Bacteroiodes 肝膿瘍の 1 治験例(第 8 回関東甲信越地方会)
- 大動脈離断(IAA)又は縮窄(CoA)を伴う大動脈肺動脈窓(APW)の臨床的,形態学的特徴
- A-11 進行神経芽腫治療後にみられた臓器障害(腫瘍(1))
- ステロイド治療開始後に皮膚紫斑制血管炎を認めた全身性エリテマトーデスの1例 : 血中免疫複合体分子サイズの変化からの検討
- Reye 症候群で発症した肝型CPT I欠損症のCPT1-A遺伝子の解析
- 新生児マススクリーニングで発見されなかった先天性原発性甲状腺機能低下症35例の解析
- 2. ビタミンD依存症I型の本邦初例 : 1950年代に診断された2例の経過(I. 一般演題,第11回千葉小児成長障害研究会)
- 7. 当科における低身長症例の臨床的検討(第2報)(I. 症例検討,第5回千葉小児成長障害研究会)
- 410 慢性甲状腺炎患者自己抗体により認識されるチログロブリンと甲状腺ペルオキシダーゼの共通抗原決定基
- 川崎病冠動脈瘤患者にみるT細胞サブセットの不均衡と冠動脈病変部位のHLA-DR抗原陽性血管内皮細胞の存在
- 司会の言葉 (12 喘息治療におけるステロイドとβ受容体刺激薬の問題点
- 若年性皮膚筋炎に併発する異所性石灰化の実態調査
- 10 食物アレルゲン反応性T細胞の解析と免疫療法
- チアノーゼ型先天性心疾患にみられる腎疾患の頻度, 成因解析と診断, 治療法の策定
- 158 家庭内真菌のRAST値と皮膚反応
- B-7 光過敏性てんかんにおける赤色、図形刺激での伝播経路の差異 : 双極子追跡法による解析
- P207 痰を用いたRSV感染症時の気道炎症の評価(小児喘息1, 第19回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- 213 千葉県小児慢性特定疾患事業意見書を用いた小児期気管支喘息の実態調査 : 第3報(小児喘息6,一般演題(口演),第56回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- 成人期先天性心疾患患者の社会的自立と教育,保険,社会保障体系
- 成人期先天性心疾患患者の社会的自立と問題点
- 10年以上生存し膵癌で死亡したDeBakey II型解離性大動脈瘤の1例
- 感染性心内膜炎をともなった大動脈二尖弁
- 生涯歴から見た大動脈二尖弁診断における駆出音の有用性
- 学童・思春期の上室性頻拍症に対する高周波カテーテルアブレーション療法の適応と問題点に関する検討
- 0561 左右短絡型先天性心疾患の肺胞マクロファージおよび肺血管内皮細胞のinterleukin-8産生の意義
- 7)先天性右室憩室の2例 : 日本循環器学会第111回関東甲信越地方会
- 62)特異な経過を示した腎血管性高血圧症の1例 : 日本循環器学会第114回関東甲信越地方会
- はじめに (18 喘息における気道炎症のモニタリング)
- ホジキン病のサイトカイン産生能について
- ホジキン病および非ホジキン・リンパ腫組織におけるサイトカインの発現
- 腫瘍における分子病理学的検査法
- 出生直後のPSVTにATPが有効だった未熟児胎児水腫の1例
- MS-I-6 超音波カラードプラから見た重症横隔膜ヘルニアの手術時期の検討(先天性横隔膜ヘルニアの手術時期)
- 11. 先天性横隔膜ヘルニア症例の動脈管におけるドプラー血流パターン(S2 : 周術期管理, 第 14 回日本小児外科学会秋季シンポジウム : 先天性横隔膜ヘルニア)
- E59 早期発症先天性横隔膜ヘルニアに対する超音波カラードプラ法によるモニタリングとLipo PGE-1療法の効果
- 331 非血縁者間臍帯血移植後,食物アレルギーを発症したWiskott-Aldrich症候群(WAS)男児例
- 先天性心疾患における腎動脈血流速度パターン測定の臨床的意義
- P2-119 川崎病に対するクリニカルパスの検討(一般演題 ポスター発表,使用状況調査・意識調査,臨床から学び臨床へと還元する医療薬学)
- 2 RSウイルス抗原に対するT細胞応答の解析
- 319 アシドーシス, 好中球増多, 体重減少で発症したミルクアレルギーの2例
- 322 喘息発作時の治療に対する一考察吸入療法に関するアンケート調査を中心に
- 症候性未熟児動脈管開存症-出生体重2,000g未満児における薬物学的治療成績
- 川崎病に合併した巨大冠動脈瘤の長期予後の検討-免疫グロブリン大量療法の有無による差異について
- 心血管系におけるキマーゼ・アンギオテンシン系の役割
- 川崎病 (小児の治療指針) -- (リウマチ・膠原病)
- 川崎病 (特集 小児科とサイトカイン--プライマリケアから高次医療まで) -- (サイトカインと小児疾患)
- 小児科における救急医療 (特集 小児科の医療安全)
- 胸部の痛み (特集 小児の痛み) -- (部位からみた痛み)
- 新たな治療法の展望 (特集 川崎病--発見後40年の軌跡と今後の課題) -- (治療)
- γ-グロブリン治療の基礎,臨床 (特集/川崎病--川崎病を総合的に科学する) -- (急性期管理)
- グラフ 見逃してはならない乳幼児の病気:川崎病と心臓合併症
- 急性期 (特集 川崎病:最新の治療とケアの実際) -- (川崎病の治療と管理)
- 0755 川崎病血管炎にみられる細胞外マトリックス結合サイトカイン
- 0508 川崎病血管炎の病態におけるケモカインMCAF/MCP-1の役割と大量ガンマグロブリン治療の機構
- 術後四半世紀経過したFallot四徴症患者68名のQOL
- 0525 心室中隔欠損の肺病変における肥満細胞およびキマーゼの意義
- 1040 術後25年以上経過したファロー四徴症患者の心機能
- 223 cyclophosphamideパルス療法が奏効した気道閉塞伴う瘢痕性類天疱瘡の4歳女児例
- フローサイトメトリーを用いた気管支喘息患者末梢血免疫担当細胞の活性化に関する解析
- 238 気道炎症マーカーとしてのECP releasability : 吸入ステロイド剤投与による変化
- 3 気管支喘息に対する家塵を用いた免疫療法の臨床的効果(特異的免疫療法の奏効機序とアレルギー疾患治療における位置づけ)
- 9 小児の減感作療法
- 45 左側房室弁閉鎖、狭窄を伴う複雑心奇形に対するBlalock-Hanlon手術
- 座長のまとめ
- 11)冠動静脈瘻を伴った左単冠動脈の1例 : 日本循環器学会第115回関東甲信越地方会
- 2.免疫学的非応答性の破綻 2)Regulatory細胞媒介性自己寛容とその除去による実験的自己免疫性甲状腺炎の発症(II トレランスとその破綻)
- 268 小児気管支喘息の発作予防治療における抗コリン剤の有用性に関する検討
- 座長のまとめ
- 司会の言葉
- シカゴより(海外だより)
- 集中治療を必要としたRSウイルス感染とパリビズマブとの関連について
- 135 小児気管支喘息に対するセラトロダスト顆粒の使用経験 : 重症喘息児を対象としたretrospectiveな解析
- アスピリン (特集 川崎病の本態にせまる--古くて新しい研究から) -- (治療にせまる(治療法・有用性から本態にせまる))
- 気道アレルギーの発症と予防
- (4)慢性甲状腺炎の自己抗原:大腸菌由来蛋白とTg, TPO
- Sjögren症候群に合併した遺伝性血管神経性浮腫の1例
- P-0857 小児領域におけるバンコマイシン塩酸塩の用量検討(一般演題 ポスター発表,TDM・投与設計,Enjoy Pharmacists' Lifestyles)
- 新型インフルエンザA/H1N1 2009による脳梁膨大部脳症の1例
- メチルプレドニソロンの隔日療法が有効であった膜性増殖性糸球体腎炎を合併したWiskott-Aldrich症候群の1例
- 感染とアレルギー
- 小児心疾患と成人先天性心疾患における感染性心内膜炎の管理, 治療と予防ガイドライン
- 199 食物アレルギーにおけるTリンパ球の機能の解析 : 食物抗原刺激によるサイトカインmRNAの発現