フローインジェクション・アナリシス法を用いた新しい溶血活性測定法の開発とマストパラン誘発溶血作用の解析
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概要
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両親媒性パプチドであるマストパラン(MP)は溶血作用を示すが, この作用は未だ明らかではない。本研究では, フローインジェクション・アナリシス法を用いて, 溶血作用をリアルタイムに解析する方法を開発し, これを用いてMPの溶血作用を解析した。フローインジェクション・アナリシス法は, 送液ポンプ, インジェクター, 細胞保持チャンバー, 検出器, データ処理装置より構成される。細胞保持チャンバーを除き, 市販の高速液体クロマトグラフィー用装置を利用した。Wistar系雄性ラットより調製した赤血球懸濁液を本システムに注入すると, 赤血球は細胞保持チャンバー内のメンブレンフィルター上に保持された。次にMPなどの溶血作用誘発物質を注入すると, 溶血作用によりヘモグロビンが放出され, これを413 nmの吸収で定暈した。このフローインジェクション・アナリシス法は高い再現性と従来法であるバッチ法との高い相関(r=0.989)を示した。次に, このシステムを用いてMPの溶血作用を解析した。その結果, MPの溶血作用は反応時間とは無関係にモル数に依存した反応であった。MPの溶血作用は非常に早く, しかも一過性の反応であった。また, この反応は界面活性剤であるSDSとは異なるメカニズムによることが示唆された。本システムは容易に自動化が可能であり, 臨床および基礎研究で有用と思われる。
- 日本保健科学学会の論文
- 2001-06-25
著者
-
笠井 久隆
首都大学東京大学院人間健康科学研究科:東京都立保健科学大学大学院保健科学研究科
-
村上 拡治
首都大学東京大学院人間健康科学研究科:東京都立保健科学大学大学院保健科学研究科
-
笠井 久隆
東京都立保健科学大学
-
伊藤 尚
青山学院大・理工
-
伊藤 尚
青山学院大学大学院理工学研究科
-
高橋 俊一
久留米大
-
高橋 俊一
青山学院大学大学院理工学研究科
-
村上 拡治
青山学院大学大学院・理工学研究科
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