マストパラン分子のN末端部分の疎水性を増加させると溶血活性及びクロム親和性細胞からのカテコールアミン放出活性が増強した
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概要
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著者らは前報において, マストパラン類の一つであるマストパランT(MT)のN末端3残基をGly-Leu-Alaに置換した誘導体(GLA-MT)はウシ副腎髄質クロム親和性細胞からのカテコールアミンの放出活性においてMTの活性を2倍に増強したことを報告した。本研究ではマストパラン(MP)及びMTのN末端3残基をさらに他のアミノ酸残基に置換し, 合成したペプチドの溶血活性, カテコールアミンの放出活性及び円二色性を測定した。その結果, MP及びMTのN末端3残基の疎水性を増加させると, α-ヘリックス含量には差が認められなかったが, 溶血活性及びカテコールアミンの放出活性が増強した。特に, N末端3残基がγ-methylvaleryl-Leu-Leuである誘導体(γMV-LL-MP)は, MPと比較して溶血活性で50倍, カテコールアミンの放出活性で11倍の活性を有した。また, MPはアセチルコリンとは違った作用機序でクロム親和性細胞に作用することが示唆された。高活性を有するマストパラン誘導体は溶血活性や, カテコールアミン放出に代表される開口放出の作用機構を解明するためのツールとして非常に有用である。さらに, 細胞情報伝達系異常に由来すると考えられる疾患の原因を解明するための一助として, 今後多くの実験系で使用されることが期待される。
- 2000-09-25
著者
-
笠井 久隆
首都大学東京大学院人間健康科学研究科:東京都立保健科学大学大学院保健科学研究科
-
村上 拡治
首都大学東京大学院人間健康科学研究科:東京都立保健科学大学大学院保健科学研究科
-
栗田 孝
青山学院大学大学院理工学研究科
-
笠井 久隆
東京都立保健科学大学
-
伊藤 尚
青山学院大・理工
-
伊藤 尚
青山学院大学大学院理工学研究科
-
高橋 俊一
久留米大
-
高橋 俊一
青山学院大学大学院理工学研究科
-
栗田 孝
アベンティスファーマ株式会社
-
村上 拡治
青山学院大学大学院・理工学研究科
-
安藤 剛
青山学院大学大学院・理工学研究科
-
熊倉 鴻之助
上智大学・生命科学研究所
-
熊倉 鴻之助
上智大学生命科学研究所
-
栗田 孝
アベンティス ファーマ株式会社
-
熊倉 鴻之助
上智大・生命科学研
-
熊倉 鴻之助
上智大学生命科学研究所神経科学部門
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