卵管妊娠の非観血的治療法の検討

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中絶症状の発現前および発現後において,一般状態の比較的良好な卵管妊娠に対し,絨毛機能中絶の目的で筆者らが過去に腹腔妊娠や頚管妊娠などに使用したamethopterin(methotrexate,以下MTX)の経験をもとに,卵管妊娠と診断された8症例にこれを用い,7症例に非観血的卵管保存治癒の目的を達しえた.成績:1)全8症例のうちMTXでの治療経過中,手術適応へと変更した1例を除き,MTXの総量60〜300mgを7症例に授与して,それぞれ卵管妊娠を中絶・吸収せしめた.2)治療前尿中HCG値が1,000iu/l以下の4例では,MTX1クール(60〜105mg)のみで治療開始6日,20日,23日および30日後に,いわゆるLHレベルまで下降し治癒せしめた.3)治療前尿中HCG値が4,000〜16,000iu/lの3例では,1例はMTX1クール(75mg)でHCG値が速やかに下降してLHレベルとなり,また1例はMTX1クール(100mg)治療開始10日経過してHCG値に下降がみられず,さらに1クール(100mg)追加して寛解に至ったもの,また逆にHCG値が一過性に上昇した1例で,2クール(200mg)追加でLHレベルヘ導いたが,結局治療開始後39日,42日および47日で,いずれも寛解に至った.4)治療後に子宮卵管造影法をなしえた5例では,これまでに4例が卵管の疎通性を確認されている.5)MTXの副作用としては使用量の多かった2例に軽度の一過性GOT,GPTの上昇を認めたが,重篤な副作用はなかった.6)BBTを追った2例では,尿中HCG値がLHレベルとなって3〜4週目に4〜5日間の月経をみ,約2週後にそれぞれ排卵が推定され,以後順調な排卵周期の回復を認めえた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1983-04-01

卵管妊娠の非観血的治療法の検討

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