抗白血球抗体と妊娠

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妊婦血清中に存在する抗白血球抗体(抗HL-A抗体)が, 妊娠によりいかなる影響をうけているか, また妊娠に対していかなる役割を果たしているかを検討する目的で, 妊婦2686例, 非妊婦1483例, 臍帯血35例大量輸血歴のある非妊婦31例, 胞状奇胎患者16例, 男子100例から血清を採取して Amos の two stage method による microlymphocytotoxicity test を行い, 以下の成績を得た. 1) 妊婦の抗体陽性頻度は, 平均7.6%であったが, 非妊婦では1.0%と低値であり男子では0.0%であった. 2) 大量輸血歴のある非妊婦の抗体陽性率は9.7%を示した. 3) 妊婦を経妊回数により, 0回〜4回以上の5群に分け, それぞれの抗体陽性頻度を調べた結果, 経妊0: 5.3%, 経妊1: 9.6%, 経妊2: 13.9%, 経妊3: 19.5%, 経妊4≤24.3%と有意な相関をもって陽性頻度は上昇していた. 4) 妊婦を経産回数により, 0回〜4回以上の5群に分け, 同様にそれぞれの抗体陽性頻度を調べた結果は, 経産0: 5.2%, 経産1: 15.7%, 経産2: 17,4%, 経産3: 32.7%, 経産4≤42.9%であった. 5) 初妊婦のうち, 最も早く抗体陽性を示していた例の妊娠時期は, 妊娠13週であった. 6) 妊婦を血清採取の時期により, 妊娠初期, 中期, 末期の3群に分け, それぞれの時期の抗体陽性頻度を経妊回数別を考慮に入れて検討した. いずれも妊娠時期の進行するにつれて陽性頻度は上昇していく傾向にあったが, 推計的には有意でなかった. 7) 胞状奇胎患者の抗体陽性頻度は18.8%であり, 同時期の正常妊婦の陽性頻度は5.7%であった. 8) 母体血, 臍帯血を同時に採取した35例中, 母体血から6例の抗体陽性例を得たのに対し, 臍帯血からはまったく得ることが出来なかった.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1974-10-01

抗白血球抗体と妊娠

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