子宮頚癌治療後のイレウスの検討

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1961年より1975年までの期間に治療した子宮頚癌2,149例中に治療後発生した66例のイレウスについて調べた. これら症例は次の4つのグループに大別できた.1. 癌再発の所見なくイレウス治療後生存している例(29例),2. 癌再発の所見なくイレウスまたはその治療に帰因する死亡例(7例),3. イレウス治療後1年以上経過して癌死した例(6例),4. イレウス発症後1年以内に癌再発死した例(24例). 1, 2, 3群を合併症群とし4を再発群とすると,合併症群のうち放射線治療後の症例は6例で,ほとんど直腸S状腸の狭窄に帰因するもので小線源が原因であろうと考えられた. 合併症群のうち手術後に発生したイレウスは術後照射線量と相関を認め,テレコバルト5,000rad以上照射例およびそれ以下の線量でも小線源を併用した症例に多発した. イレウス発症の時期は平均治療後11ヵ月であつた. イレウス部位は放射線治療例ではS状腸,直腸に多発,手術治療例では回盲部より口側に多発していた. イレウス治療は対症的に治療した例29例と手術侵襲を加えた例37例であり,対症療法で15例,腸切除術5例,人工肛門造設術3例と生存例が多かつた.しかし,腸切除施行例8例中7例に縫合不全の発生をみており,腸切除術の適応については一般状態を考慮して慎重に立てるべきであると考えられるとともに,対症療法は先ず試みられてしかるべき治療法であろうと思われる.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1978-03-01

子宮頚癌治療後のイレウスの検討

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