子宮頚癌広汎全摘術後の術後照射に関する研究
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概要
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子宮頚癌に対する広汎全摘術後, 顕微鏡的な癌遺残を想定して術後照射が通常行われている. しかし, 最近では外照射装置が改善され, 深部線量も増加しているため副作用も強くなり, 漠然とした後照射の実施はかえって治療効果を妨げることも考えられるので, 術後照射の価値について再検討を試みた. 1) 1955-67年の13年間に当教室で手術療法を行なった頚癌患者807例について調査した. 2) 放射線療法は160〜180KVX線, 230KVX線, ^<60>Coが使用され, 照射方法も6門1座から6門2座, 4門6座, 2門10座などと次第に改善され, これに伴なって深部線量も1000rad未満から6000radまで増加している. 症例を深部量を基準として1000rad未満のA群から4500rad以上のF群までの6群に分類した. 3) 各群について予後をみるとI・II期とも各群間に差は認められなかった. また, 延命効果も認められなかった. 4) リンパ節転移陽性例も陰性例もともに各群間に予後の差を認めなかった. 転移陰性II期例でA・B群に比し高線量を与えたC・D・E群の予後が若干良いようであるが, 有意差ではなかった. 5) 副作用は線量が増加するにつれて明らかに増加している. 6) 再発部位をみると術後照射の照射野内に含まれる局所再発の割合は4000radまでの範囲では線量を増加させても減少していない. リンパ節転移陽性例では遠隔再発率が高く, 骨盤腔のみに照射しても意義は少ないと考えられた, 以上より, 術後照射は摘出標本の精細な組織学的検索に基づいて癌遺残の可能性のある症例のみに対して充分な癌致死線量を与えるべきであって, 全症例に対して漠然と小線量照射を行うことは無価値であることが判明した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1974-04-01
著者
-
松山 敏剛
九州大学医学部附属統合教育研究実習センター
-
塚本 直樹
九州大学医学部産婦人科
-
滝 一郎
九州大学医学部産科婦人科学教室
-
西村 篤乃
九州大学医学部産婦人科学教室
-
杉森 甫
九州大学医学部産婦人科学教室
-
柏村 正道
九州大学医学部産婦人科学教室
-
柏村 賀子
九州大学医学部産婦人科学教室
-
浜崎 康夫
九州大学医学部産婦人科学教室
-
松山 敏剛
九州大学医学部産婦人科学教室
-
塚本 直樹
九州大学医学部婦人科産科
-
塚本 直樹
九州大学医学部婦人科学産科学教室
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