双胎の詳細な研究より得た利点

概要

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ヒト生物学のうち最も興味深い方面の一つである双胎形成現象について,"誰でも双胎に興味をもつている.さもなくば興味をもつべきである"と書いたのは,最も著名な双胎学者のひとり,ホーレィショ・ハーケット・ニューマンである.まず,双胎の周産期死亡率が極めて高率であることから,産科医も小児科医もひとしく,この現象に関心を抱いているし,病理学者と遺伝学者も,この自然の実験から正常の胎児発育について多くのことを学び得るために,双胎の研究を熱心に行なつている.今より100年前,ダーウィンのいとこにあたるフランシス・ゴートン卿は,このモデルの助けを借りれば,"nature versus nurture"すなわち"氏と育ち"の神秘を解明することができるのではないか,換言すれば,発育の諸因子のうちで,どれが形質遺伝的性質をもち,どれが環境的影響により決定されるのかを理解することができるのではないかと提言している. 本研究は,当然のことながら,基礎的な双胎形成過程についての徹底的な知識と,二卵性(DZ)と一卵性(MZ)双胎を明確に区別することを前提としている.また,もつと大規模な双生児研究においても,プライスが"prenatal biases"と名付けたように,出生前環境が適切に評価されていなかつたことにより,この双胎モデルが約束を充分果さなかつたということが本論の主旨となつている.また同様に,これらの"prenatal biases"を有意義に評価することは,良識ある胎盤検査を介してのみ可能であることを示すことできる.このような検査は,次代の小児科医,遺伝学者,また,この自然の実験から利点を得ようとする他の人々が,判断に利用することができるように記録されなければならない.まつたくその通り,私は,このような検査の詳細は,これらの所見が終極的には双生児自身の手に入るように,双胎の母親に返すべきであると提唱したい.というのは,ずつとあとになつてから,他の方法では,ふり返って確めることが困難あるいは,不可能でさえある疑問に対しても,これらの所見は答えてくれるかもしれないからである.たとえば,成人双生児間における組織の移植は,その双胎が一絨毛膜性胎盤であることを確め得たときは,はるかに容易に勧められる.そして,双生児にみられる不調和な奇形についての私どもの理解度も,その双胎の胎盤構造などが知られておれば,より高まるであろう.その他,多数の実例を引用することが出来る.
1978-08-01

双胎の詳細な研究より得た利点

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