子宮頚癌放射線治療前の試験開腹術 (Staging laparotomy) の検討
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概要
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1979年より1984年までに放射線治療をした子宮頚癌179例中70例に対して治療前試験開腹術を施行した。70例中16例 (22.9%) に組織学的に確認した傍大動脈リンパ節転移を認め, I期20%, II期25%, III期20%, IV期50%の頻度であった。骨盤リンパ節転移は視診または触診で診断し, 36例 (51.4%) に転移を疑った。その他の開腹所見として膀胱筋層内浸潤14, ダグラス窩漿膜浸潤10, 付属器2, 骨盤内3の転移例および9例の腹水細胞診陽性例を認めた。術中に子宮壁にヘモクリップを装着し, これによりX線写真上に子宮輪郭を推定した。その結果6例で小線源挿入時の子宮壁穿孔が診断された。臨床進行期別の5年生存率はI期60%; II期35.7%, III期56.8%, IV期0%であった。この成績は非開腹例の成績に比較してI, II期は悪くIII期は良好であったが統計学的には有意差はなかった。傍大動脈リンパ節転移16例中13例は2年以内に死亡したが3例は4年以上生存した。試験開腹例の放射線晩期障害は25例 (35.7%) に発生し, これは非開腹例の23例 (21.1%) に比較して有意に高率であった。以上より, 治療前開腹術は癌病巣の広がりを的確に診断する有用な手段であるが, 手術術式やそれによって判明した転移病巣に対する治療法の改善などの点で, 今後さらに検討を要すると考えられた。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1989-03-01
著者
-
中野 仁雄
九州大学医学医学研究科生殖病態生理学
-
嘉村 敏治
九州大学医学部婦人科学産科学教室
-
斎藤 俊章
九州大学医学部婦人科学産科学教室
-
斉藤 俊章
国立病院機構九州がんセンター
-
加来 恒寿
九州大学医学部保健学科
-
松山 敏剛
まつやまクリニック
-
松山 敏剛
九州大学医学部附属統合教育研究実習センター
-
塚本 直樹
九州大学医学部産婦人科
-
松隈 敬太
九州厚生年金病院産婦人科
-
松隈 敬太
九州大学医学部婦人科学産科学教室
-
松山 敏剛
九州大学医学部産科婦人科学教室
-
松隈 敬太
九州厚生年金病院
-
松山 敏剛
九州大学医学部産婦人科学教室
-
塚本 直樹
九州大学医学部婦人科産科
-
塚本 直樹
九州大学医学部婦人科学産科学教室
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