乳癌患者におけるTamoxifen長期服用の腔上皮と子宮内膜への影響および内膜病変の合併
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概要
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1989〜1992年の間に当科外来を受診し, follow upされている Tamoxifen (TAM)服用中の乳癌術後症例56例について, Maturation Index (MI), Karyopyknotic Index (KPI)を用いて TAMの腔上皮細胞への影響と, 子宮内膜への影響および内膜病変の合併について検討した. (1) 細胞学的に, 56例のTAM服用開始年齢とMI, KPIの関係を検討した. TAM閉経前服用開始例と閉経後 (閉経後3年以降) TAM服用開始例のMIは, 中層細胞 (IMT)を中心に表層細胞 (ST), 芳基底細胞 (PBT)の順で多くみられ, KPIも18%代と近似していたのに対し, 閉経後早期 (閉経後3年以内) TAM服用開始例のMIは, IMT, PBT, STの順で, KPIは4.0%と低値を示した. また, TAM服用期間とMI・KPIの関係をみると, MIはTAM服用4年まで IMTの増加を中心にSTの減少が認められたが, 4年を超えると IMTの漸減と STの漸増がみられ, KPIも増加傾向を示した. (2) 内膜細胞診の検討(34例)では, 分泌期14例 (41.2%), 増殖期9例 (26.5%), 他11例 (萎縮8例含む: 32.4%)であり, TAM服用により分泌期像を呈する例が多く, 長期服用例において萎縮像を示す例が少ない傾向を認めた. 対象56例中, 内膜病変は5例 (8.9%)にみられ, 内訳は内膜癌3例, 嚢胞性腺増殖症2例で, 平均服用期間は54(±S.D.26.8)ヵ月であった. 以上より閉経前・後乳癌術後症例におけるTAMの長期服用は, 膣上皮および内膜に estrogenic effect を示す可能性があり, 長期服用例に対して progesterone剤の追加投与, 薬剤の変更を考慮する必要があると思われた.
- 1995-02-01
著者
-
荷見 勝彦
癌研究会附属病院
-
手島 英雄
癌研究会附属病院婦人科
-
片瀬 功芳
癌研究会附属病院
-
藤本 郁野
癌研究会附属病院婦人科
-
山内 一弘
癌研究会附属病院婦人科
-
横須賀 薫
癌研究会附属病院婦人科
-
手島 英雄
癌研究会附属病院
-
横須賀 薫
至誠会第二病院
-
達木 泰裕
達木レディス・クリニック
-
藤本 郁野
癌研究会附属病院
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