Sizofiranによる子宮頚部領域リンパ節の免疫能の増強効果について
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概要
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子宮頚部領域リンパ節の免疫能に対する sizofiran (Schizophyllum glucan : 以下SPGと略す) の効果について免疫組織化学的に検討した. 対象は子宮頚癌患者 (0期15例, Ib期20例, IIb期4例, IIIb期1例), および良性腫瘍患者 (良性卵巣腫瘍8例, 子宮筋腫7例)で, SPGを手術前日に20mgを1回, または術前8日と術前日に20mgを1回ずつ筋注した. 手術時採取した領域リンパ節を免疫担当細胞の表面抗原に対するモノクローナル抗体を用いて酵素抗体(ABC)法で染色して, 以下の結果を得た. (1) SPG非投与の良性腫瘍患者のリンパ節では paracortical area (PC)に Leu 3a陽性細胞が Leu 2aと同等またはやや優位に認められ, Leu 4は 2aと3aの総和と考えられた. HLA-DR陽性細胞はPCおよびsinusに認められた. Leu 7, 11, M3, interleukin-2 receptor (IL-2R) 陽性細胞はほとんど認められなかつた. これらの所見は0期およびIb期頚癌でも同様であつた. (2) SPGを投与された子宮頚癌患者の転移陰性リンパ節では Leu 3a, IL-2R陽性細胞の出現率が著明に増強した. これに対し, Leu 2a, 7, 11, M3陽性細胞の出現の増強は軽度であつた. そしてSPGによるこれらの免疫増強効果は1回よりも2回投与で顕著であり, 0期よりもIb期においてより強く認められ, 良性腫瘍では認められなかつた. これは抗原性を持たないSPGにより免疫増強を誘導するためには, 何らかの抗原刺激 (この場合は癌抗原) が必要であることを示唆するものと思われた. (3) SPG非投与症例の転移陽性リンパ節では, Leu 3a 陽性細胞よりも Leu 2a陽性細胞が多く認められたが, SPG投与により3例中2例において Leu 3a, IL-2R陽性細胞の出現率の増強が得られた. 以上, SPGが頚癌患者において, 頚部領域リンパ節のhelper T (Th)細胞系を中心とした免疫機能を増強し得ることを示した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1991-06-01
著者
-
荷見 勝彦
癌研究会附属病院
-
清水 敬生
癌研究会附属病院
-
手島 英雄
癌研究会附属病院婦人科
-
藤本 郁野
癌研究会附属病院婦人科
-
増淵 一正
癌研究会附属病院婦人科
-
陳 瑞東
癌研究会付属病院婦人科
-
陳 瑞東
癌研究会附属病院婦人科
-
手島 英雄
癌研究会附属病院
-
清水 敬生
国際医療福祉大学附属三田病院 女性腫瘍センター
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