クロガネモチ(Ilex rotunda Thunb.)の種子繁殖に関する研究 : I 花芽形成,開花,果実生長および種子形成
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概要
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Flower formation, fruit growth and seed development of Ilex rotunda THUNB. grown outdoors in Kagawa were investigated. The results were as follows: 1. On both the female and the male plants, a flower bud developed from each axillary meristem of the young shoot which sprouted in early April and discontinued growing in early May. 2. The flower bud, a cyme, was consisted of about 8 florets on the female plant and about 14 on the male. 3. Flower formation was initiated in early to middle of April, and stamens and a pistil in each floret were differentiated in early May on both the female and the male plants. Further development of the flower bud of the female plant, however, was different from that of the male. On the former, the pistil developed normally and ovule formation followed, but anthers were eventually atrophied. On the latter, pistil development was inhibited remarkably resulting in no ovule formation by the time of anthesis, but anthers developed and normal pollen grains were formed in them. The flower buds opened from June 1 to 10 on the female plants and from May 28 to June 12 on the male. 4. Most of the florets on the female plant were fertilized. Fruits developed rapidly till late July and then gradually. They became red in color in late October and ripened, 5 to 7 mm in diameter, in November. 5. Seeds, in appearance, developed rapidly till late July and were immediately followed by the rapid development of endosperm and embryo. In late October the endosperm was completed, while the embryo was remained immature exhibiting the size of 280 x 200 μ.クロガネモチの花芽形成, 開花, 果実生長および種子発達の特性を調査し, 以下の結果を得た. 1. 花芽は, 雌株・雄株ともに, 3〜4月に発芽し5月上旬に伸長を停止する新梢基部のりんぺんおよびそれに続く葉の腋芽から分化した. 2. 花芽は2出集散花序で, 一花序あたりの分化小花数は, 雌株で8, 雄株で約14であった. 3. 花芽形成は4月上・中旬に始まり, 雌株・雄株ともに, 5月上旬には雄・雌ずいが分化したが, その後の花芽発達は雌株と雄株とでは異なった. すなわち, 雌株では, 雌ずいは正常に発達を続けて5月中旬には胚珠を分化したが, 葯は退化し, いっぽう, 雄株では, 雌ずいは未発達のままであったが, 葯は発達して正常な花粉が形成された. 雌株では6月1日〜10日, 雄株では5月28日〜6月12日に開花した. 4. 雌株のほとんどの小花は受精し, 果実は7月下旬までは急速に, その後は徐々に生長した. 10月下旬に, 着色しはじめ, 11月に入ると径5〜7mmの成熟果となった. 5. 種子は, 外見的には, 果実と同じ様に7月下旬まで急速に発達した. 胚乳と胚は8月以降とくに発達しはじめた. 10月下旬に胚乳は完成したが, 胚は未熟なままで, 280 x 200μの大きさであった.
- 香川大学の論文
- 1978-09-30
著者
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