オオムギ野生種 Hordeum bulbosum(4x)との交雑による日本コムギ品種の半数体作出について
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概要
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日本のコムギ8品種を母親にオオムギ野生種 Hordeum bulbosum(4x)を花粉親として属間交雑を実施した。また異なる交配操作が交雑率に及ぼす効果についても調べた。さらに交雑により得た未熟種子の胚を無菌培養することによってコムギの半数体を作出しようとした。 H. bulbosum との交雑率はハルヒカリを除く7品種で平均4.4〜24.0%であった。そのうちフクホコムギ,アサカゼコムギ,農林29号および農林61号は約20%の高い交雑率を示した。 紙,セロファンおよびビニール製の交配用袋を用い授粉時期を開花前および開花後として,フクホコムギの交雑率を調べ,さらに授紛後にジベレリン75ppm水溶液を噴霧してその効果をみた。その結果,交雑率を高める条件としてビニール製の交配用袋による高湿度の維持および授粉後のジベレリン処理が有効であった。しかし成熟前の雌蕊への授粉は不適当で,交雑の成功には十分た雌蕊の成熟が必要であることが明らかとたった。 H.bulbosum との交雑により得た2品種フクホコムギおよび農林29号の未熟種子の胚を授粉約3週間後に摘出して寒天培地で培養した結果,供試した胚のほぼ半数から半数体植物を獲得することができた。 以上の結果から日本のコムギの品種改良における H.bulbosum との交雑を利用した半数体育種法の可能性について論議した。
- 日本育種学会の論文
- 1982-12-01
著者
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