野生オオムギ Hordeum bulbosum L. と交雑したコムギ品種農林61号の胚培養
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概要
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コムギ品種農林61号を母親とし野生オオムギHordeum bulbosum L.を花粉親として属間交雑を実施し,結実した未熟種子の幼胚を無菌培養した.授粉の1,2,3,4,5および6週間後に幼胚を摘出しB5寒天培地に置床した結果,授粉後2週間目の胚(約1.4mm長)が96.6%の効率で半数体植物に発育した3週間以後では胚盤が種子のなかで肥大成長した.置床した培地上で胚盤はカルスとなり,胚は幼芽と根を伸長させたが,途中で発育を停止し,半数体作出の効率は置床した胚の20〜30%に低下した.さらに授粉の2週間後の穂を茎葉をつけたまま初穂とし5℃の冷室に1および2週間貯蔵した場合も検討したが,置床した胚からの半数体作出は約20%であった.なお,作出した半数体のうち,1個体は22本の染色体をもつ異数性半数体であった. 以上の結果から野生オオムギとの交雑によって得たコムギ種子の幼胚の無菌培養においては,摘出時の胚の発育程度が寒天培地上での半数体作出効率に大きく影響することが明らかとなった.
- 日本育種学会の論文
- 1985-03-01
著者
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