F_1植物に稔った玄米の大きさの糯粳性による差異: イネにおける穎と子房の相互関係.V

概要

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47組合せの糯粳間雑種F_1植物に捻った玄米を供試し,玄米の大きさに対する糯粳性遺伝子の作用について検討した。糯玄米の重さ,長さ,幅,厚さ及び比重は,粳玄米に比べて有意に小さく(重さで5%,長さと幅で3%,厚さと比重で1%),光合成産物を供給する栄養体の条件,たらびに籾殻の大きさが同じ場合でも,濡玄米は梗玄米よりも小さくできあがることを明らかにし,その理由を玄米の登熟過程における水分の取り込みとの関連で論議した。一方,同一F_1個体に捻った糯玄米重の粳玄米重に対する相対値は交雑組合音によって有意に異なり0.92〜0.99であった。この相対値は出穂期,草丈ならびに籾摺歩合と関連があり,登熟が悪いほど糯玄米が相対的に軽くなる傾向が認められた。また糯玄米比重と粳玄米比重との関係,ならびに糯粒籾摺歩合と粳粒籾摺歩合との関係からも,光合成産物は糯玄米よりも粳玄米に蓄積されやすいと考えられた。文献的に見ても,糯玄米の1粒あたりのsinkとしての収容能力は粳玄米よりも5〜10%劣るので,糯品種において粳品種なみの収量を確保するには,登熟粒数を増やすか,または籾殻を大きくする必要がある。
日本育種学会の論文
1978-09-01