ENSO/モンスーンシステムの2年周期振動における冬季北東モンスーンの役割
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概要
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ENSO/モンスーンシステムの2年周期変動の実態とそのメカニズムに関する考察を海面水温, 海面風, 海面補正気圧, そして外向き長波放射データを用いて診断的に行った. 海洋大陸域付近の世界で最も強い対流活動によって主に維持されているENSO/モンスーンシステムには, 約2年周期(BO)の変動が卓越し, このBOは, 北半球の春にその偏差状態を反転させる傾向がある. 一方, 南シナ海付近の海面水温の変動にもBOが顕著に見られ, この海面水温の偏差の反転は, ENSO/モンスーンシステムの変動に対し約半年先行している. 秋から冬にかけての北東モンスーンの強弱により形成され, 次の夏まで持続する. 海洋大陸上の対流活動のBOは, 南シナ海付近の海面水温のBOと強く相互作用しているようである. すなわち, 海洋大陸での対流活動の強弱は, Walker循環を介し北半球の夏から冬にかけて, 中東部太平洋熱帯域の海面水温偏差を規制する. この海面水温偏差は, 大気のテレコネクションによって中高緯度の循環場を規制し, 冬季北東モンスーンの強弱をも規制する. さらにこの冬季北東モンスーンの強弱は, 南シナ海付近の海面水温の偏差を通して, 引き続く春から夏の対流活動の偏差を反転させ, このBOサイクルは閉じると考えられる. このように熱帯-中緯度相互作用がENSO/モンスーンシステムの2年周期変動にとって本質的に重要な役割を担っている可能性の高いことが示唆された.
- 1996-08-25
著者
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安成 哲三
筑波大学地球科学系;地球フロンティア研究システム
-
安成 哲三
筑波大学地球科学系
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冨田 智彦
地球フロンティア:熊本大
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冨田 智彦
UCLA大気科学科
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冨田 智彦
熊本大学自然科学研究科:JAMSTEC/地球環境変動領域
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