南シナ海の海面水温 : アジアモンスーンとENSO系のひとつの指標
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概要
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南シナ海の海面水温の年々変動は、その地理的位置のため、アジアモンスーンとENSOのシステムの指標と認識できる。観測値の統計的解析から、次のような結果が得られた。(1)北半球冬において、南シナ海の海面水温偏差は、赤道太平洋の海面水温偏差と関係した大規模な風偏差の経度方向の変化に対して、極めて敏感である。この事実は、南シナ海およびその周辺の海面水温偏差が強い2年振動を示すことと関係している。(2) この大規模な風偏差が東に寄っているとき (BOタイプ年)、熱帯東太平洋海面水温偏差は、次の春に大きな変化を示す傾向にある。一方、大規模な風偏差が西に寄っているとき (LFタイプ年)、熱帯東太平洋海面水温偏差は、その年をとおして維持される傾向にある。これに関連したBOタイプ年とLFタイプ年の違いが、前年の夏から冬にかけての熱帯の下層風偏差の中に見られた。(3) 北半球夏の南シナ海の海面水温偏差は、そこでの下層風偏差によって決まっているように見える。さらに、南シナ海の正の海面水温偏差に対して、南アジアおよび熱帯西太平洋で東風偏差、東アジアで西風偏差が下層で見られる。また、夏の南シナ海の海面水温偏差は、その前の冬の赤道中央太平洋の海面水温偏差と統計的に関係があることが示される。このことは、夏のアジアモンスーンと冬のENSOの位相に関係があることを示す。
- 1997-12-25
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