中国東北部における水田土壌の磁性について

概要

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WCL-1型磁化率測定値で,中国東北部の数種の水田土壌および隣接した畑土壌の磁化率とそれに関連した土壌の理化学性との相関関係を調べ,水田土壌の磁化率の土壌生成過程の研究への適応の可能性を検討した.得られた結果は次のとおりである.1)東北部の水田土壌の作土層の磁化率は隣接した畑土壌よりも明らかに低く,起源土壌の磁化率が高いほど,水稲栽培後の磁化率の低下が大きかった.また,同一の起源土壌から発達した水田土壌の水稲の作付年限が長いほど,磁化率の低下幅も大きいことが認められた.2)東北部の水田土壌の作土層の磁化率と土壌の粘土含量とは負の相関関係があり,5%以上の水準で有意であった.水田造成後,土壌の湛水・還元条件での 0.002 mm 以下の粒径に含まれている鉄磁性鉱物が弱磁性鉱物へ変化しやすいとが推測された.3)東北部の水田土の作土層の磁化率と有機物含量,遊離態腐植酸 fHa 値,PQ_1 値の間には正の相関関係が認められた.これによって,水田土壌の強磁性鉱物が遊離態腐植酸との錯体形成物を作っていることが示唆された.4)水田土壌の作土層の磁化率と錯体鉄含量との間に高い正の相関関係があった.
社団法人日本土壌肥料学会の論文
1993-04-05